クレームラボ・・・・クレーム対応の研究所
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―  最近目立つクレームの事例  所長の見解―
平成21年10月19日付け
≪我がままを通そうとクレーム(難癖)を言ってくるお客様@≫


 最近取り扱った事例で、某自動車販売会社で起こったクレーム問題を取り上げます。

 問題の背景には「恨み」の一言が存在するのですが、簡単にクレーム発生からの経緯を説明しますと、まずあるお客様(仮名A氏としします)が中古自動車販売(仮名ラボオートとします)で中古自動車を買いました。
 その際にA氏は自分の好みの色に塗り直して欲しいとの希望を出し、ラボオートの担当者と色などの相談をし金額も決めて契約をしました。
 そして晴れて納車となり、A氏は自分の思い通りの色に塗られた自動車に満足し帰宅しました。

 それから数日が経ち、ラボオートにA氏から電話があり、細部に色のムラや剥げそうな所があるとの問合せがあり、持って行くので見て欲しいとの事でした。
 さらに数日後A氏が来店し担当者がA氏の指摘する箇所をチャックしました。
 しかし、そのムラや剥げそうな箇所と言うのは外見上ではなく、モール(自動車の窓や扉、トランクの接点などの機密性を保つ為のゴムの事)を剥がした箇所の事であり、担当者は外見上は問題なく、違う色に塗る場合はどうしても色のムラなどが
出てしまう箇所であるので仕方が無いとの説明を行い、剥げそうな箇所に付いてはある程度補修は行いますが、完全には無理であると丁寧に事例も踏まえて説明しました。
 しかしA氏は契約時と話が違うと言い出し、全て直らないのであれば契約を解除すると申し出て来ました。

 ≪では、ここまでの見解として、ラボオートの担当者は契約前の検討段階で細かな説明をし、お客様が納得づくで購入を決めました。
 購入した車両は7年落ちの車両で車両本体価格が80万程度の物であり、別途お客様の要望であるオールペイント代として60万円を支払った。
 最初の訴えの際にも担当者は誠意な対応をし、A氏の指摘に対して丁寧に説明をし対応に対しての落ち度は有りませんでした。
 
 専門的な話になりますが、約7年落ちの車両ですと、元々の色にも塗装の劣化は進み新車当時からは考えると劣悪な状態になるのは仕方がありません。
 その車両にオールペイントを施した訳ですが、劣化の進んでいる部分は補修をし傷なども直してから塗装を行いました。
 オールペインの種類(どの部分まで塗るのか)としては、外見上を塗装するとの契約で、エンジンや内装の内側までは塗る契約にはなっていませんでした。
 
 この場合、元の色と新しく塗る色との境目が出るのは仕方が無く、それをなるべく目立たなくする為に、ドアのモール部分やトランクのモール部分を剥がした所で境目を作ると、外見上からは色の違いは分かり辛くなり、見た目にも綺麗な仕上がりとなります。このことはA氏も納得づくで購入を決めています。

 では再び本題に戻ります。今回の事例の場合には、仕上がりにおいてA氏とラボオートの合意の上に基づいた状態になっており、第三者が見てもその事は間違いなく、塗装を行った工場にも落ち度はありません。
 しかしお客様が求めていたのは、細部に至るまでもっと完璧な仕上がりを期待していたものと思われ、それを追求した場合は今回行った予算では実現するのは難しく、エンジンや内装も全て取り払い金属部分を全て塗らない限りは無理な要望となり、その事は購入前に担当者が説明をし、A氏の予算ではそこまで行うのは無理である事から契約では、ランクを落とした施工となりました。

 それでもラボオートに落ち度は無いものの、出来る範囲での補修なら行うと説明し、A氏の要望に少しでも近づけますが、それでも完璧な仕上がりは無理であるとの説明をし、A氏はそれに納得し車両を預けました。
 そして数日後補修が完了し、A氏が車両を引き取りに来た際、預ける前に指摘していた箇所が綺麗になっている事を確認しましたが、今度は色に対して思っていた色と違うと言い出し、再び全部色を塗りなおすか、契約を解除したいと言って来ました。

 今回の補修においてもラボオートには落ち度はなく、補修に掛かった費用もラボオートが負担しA氏の要望に答えて来たのにも係わらず、今度は色が違うと言い出した事を考えると、自分で選んだ色または車両に対して、納車されてから何か気に入らない事があり、どうしても車を返品したと考え、無理やり我がままを通そうと考えたクレームであると考えられます。

 さすがにこのクレームに対してラボオートが応じる義務も義理も無い事から、担当者は上司と相談しA氏に対して今までの経緯やラボオートが最初に行った対応などを丁寧に説明し今回は要望には答えられないと言いました。
 それに対してA氏は裁判にすると言い出し納得する気配もないまま帰宅しました。

 ≪では、ここまでの見解として、ラボオートには過失がないもののお客様の要望に少しでも答えようとの考えからA氏のクレームを受け出来る範囲で補修を行い、それを見たA氏はその出来栄えなどには関係が無く次は色が違うとのクレームを言って来ました。
 今回の事例はお客様が自分の選択(車両、選んだ色等々)が間違いであった事を修正しようとした行為としてクレームを言い、自分の我がままを通そうとした行為ではないでしょうか。
 最初のクレームにおいてラボオートの誠意だけで行った行為は全て無となりましたが、最初の時点ではお客様に少しでも満足して頂けたらとの一心から行った行為であり、契約通りなので補修はしないと言う選択もありましたが、やはり最初の時点では分からないのが実情でしょう。
 それで2度目のクレームは明らかに難癖であると分かるクレームで、色が違うと言うのであれば、最初に納車をした時や次のクレームの時に言うのが普通であり、どう考えても難癖に他ならないのが分かり、ラボオートとしても決断はし易かったのではないでしょうかね。
 このようにお客様が自分の我がままをクレームを使って通そうとする行為は、多々見受けられますが、実際に現場に居るとその見極めが非常に難しいのが現状であり、今回のようにあからさまな場合にはお客様にハッキリとクレームは受けられないと断る事が大事です。
 今回クレームを断った際も丁寧に対応しましたが、結局A氏の場合、我がままが通せずに終わった事で『裁判にするとの』言葉を残して去っていきました。
 こうなってしまうと、なかなかお客様との関係を元通りにする事は難しく、一度冷静になったお客様が自分が間違っていたと考え直して再び来店でもして頂かない限り、お店側としてはあまり打つ手が無いのが実情です。

 と、ここまではあまり珍しい事例ではないのですが、ここからが今回の問題の本題に入ります。

 ―新たな展開―

 その後A氏からは音沙汰もなく、無論裁判所からの呼び出しもないまま半年ほどが過ぎました。

 ある日展示してある車両が売れました。かなり高額な車両で、お客様(B氏とします)は会社の社長との事で、当初車を見に来た時以降は、その会社の担当者(C氏とします)が契約や納車などに立会いました。
 納車後まもなくして突然買った車両を返品したいとの電話がありました。担当者は何が原因なのかC氏から聞くと、B社長が乗ってみたけど気に入らないとの事でした。
 その車両は外車で大きさもかなり大き目の物で、当初見に来た時に試乗はしたものの、実際購入して乗ってみると、とても使い勝手が悪いからとの事でした。
 それでは仕方がないとラボオートの担当者は既に契約も成立し、お客様の名義に変更し、納車後しばらくの間乗ってしまっているので、返品と言う形ではなく買い取りと言う形になり、契約時に頂いた税金などで戻らないものもあり金額的にはかなり下がってしまいますが、当社で販売しまだ1ヶ月も経っていないので、ある程度高く買い取らさせて頂きますと税金などの説明も丁寧に行い金額を提示しました。
 
 その後数日して会社に来てくれとC氏から連絡があり、B社長にもう一度説明して欲しいと言われ、担当者が会社に赴きました。
 
 そしてB社長の会社に行ったラボオートの担当者は、C氏に車両を見せて欲しいと願い出ましたが、丁度今出掛けているとの事で、先に社長と話をしてくれと言われましたので、社長室に通されました。
 そこで再び前回C氏に説明した事を繰り返し説明しましたが、B社長の考えは、あくまでも返品で支払った全額を戻せとの事でした。
 その理由としてまだ納車してから数日しか経過していないのと、買う時に使い勝手の事について説明不足があったとの事でした。
 
 そのB社長の要望に対して担当者は、B社長自信が試乗して、車の機能などについて契約前に色々と説明をし、納得して契約して頂きましたし、車の価値的に一度お客様の名義に変更し納車していますので、そもそもワンオーナーカーであったと言う事もあり、価値が下がる事は致し方ないと丁寧に説明しましたが、全然納得する気配が有りませんでした。

 そして時間ばかりが過ぎ、その間B社長は仕事の電話などをしながら、金を返せの一点張りで、話し合いに入る切っ掛けも掴めず、担当者は自分の会社に連絡をし事情を説明しましたが、返品には応じられないから説得しろとの指示が返ってくるばかりで、板ばさみ状態に陥り時間の経過と共にB社長を説得する内容もだだの繰り返しとなり、精神的にもかなり追い詰められた状態となり、最終的に会社に返って検討しますとの言葉を残しB社長の会社を後にしました。

 会社に戻った担当者は上司と協議し、提示した額は通常の買取価格からするとかなり高額な設定であり、それは買って間もないと言う事も考慮した金額であり、当社の落ち度ではなくお客様の一方的な理由であるので、これ以上の金額を提示する事や返品とする事は出来ないと言った事を再度確認し、その事を再び電話で伝え様子を見る事となりました。

 そして数日後再びC氏から電話があり、提示した金額で良いので必要書類が揃ったらお金と車を交換しに来て欲しいとの連絡がありました。ラボオートの担当者はその事を上司に伝え支払に関しての了承を取り、数日経ったある日現金を持って車の引き取りに向いました。
 
 社長室に通され必要書類を確認し現金の受渡を行い、車の所に案内されて行くと、数日前に納車したとは思えないほどボロボロで傷だらけの車両があり、どこかにぶつけて凹んだ外装と内部も汚れ放題でとても清掃すれば元通りになる状態ではなく、シートの破れなどもあり、距離数も販売時9,000kmだったのが20,000km近く走行しており、担当者は茫然自失となり、たった数週間でこんな事になるとはと言う思いと、納車して間もないからと言う思い込みから、車両の確認を怠った自分に対しての落ち度とが交錯し、呆然としていると車の少し離れた所から以前ラボオートで車を買いオールペンをしクレームを付けてきたお客様A氏が現れ、「ご苦労様、邪魔なんで早く車を持って帰って」と一言言い立ち去って行きました。
 担当者はA氏の出現を見て完全に罠に嵌められたと悟り、買取価格の撤回と返金をその場に居たC氏に訴えましたが、自分が持ち込み先ほどサインを頂いた買取の契約書の控えを見せられ、どうにもならずに車両を引き取り帰社しました。

 会社に帰り上司に車両の確認を怠った事で厳しい注意を受けましたが、当初社長室で数時間に渡り返品を迫られ精神的に追い詰められていた事も鑑み、今後の対応を協議する事となりました。

 ≪では、ここまでの補足として、お客様の一方的な理由で車両の返品を要求する事例は多々見受けられますが、よほどの理由(長年の優良顧客であったり、それなりの正当な理由があったり等々)がない限り商売をしている以上受け入れられない事と考えられますので、返品を要求して来たB社長に対して買取で対応したのは正当な行為でありましたが、販売してから時間が経っていないからと言って車両を確認せずに買取の金額を決め契約を済ませてしまったのはラボオートの落ち度であります。
 
 しかし、問題を隠す為に違う論点に注意を引き付け、当初の問題から目を逸らさせると言った手法、今回の場合、一方的な理由で返品を迫り、返品と言う問題を大きく持ち上げ、長時間社長室での話し合いなどもあり、冷静に考えると金額が折り合わなければ、買い取らなければならない理由はないのにも関わらずに、買取らなければならない状況を作り出したB社長の誘導に乗ってしまったのは、相手が一枚上手であったとしか言い様が有りませんが、やはりお客様と販売店と言う心理を使い、最終的には返品を回避出来ればこの交渉はラボオートに軍配が上がると思わせ続けさせたB社長・・・A氏の筋書き通りに運んでしまったようです。≫

 では、本題に戻ります。翌日上司と共にB社長の会社を訪れて見ると、待っていたのはA氏だけで、B社長も担当であったC氏の姿は無く、A氏曰く会社が倒産してどこかに行ってしまったとの事でした。
 まるで初めから仕組まれていたように感じた上司が、今回の事は詐欺であると訴え、居なくなったB社長の連絡先を教えて下さいと願い出ると、「知らない、自分も被害を被ったので探している」との返答でしたが、とても困っていると言う感じではなく楽しんでいるように見受けられ、それ以上何も出来ずに、その場を後にしB社長の自宅住所を訪ねると、既に誰も住んでいない状況でありました。

 帰社した担当者と上司は、今回の問題はA氏が自分のクレームが受け入れられなかった事を逆恨みし、手の込んだ計画を作りラボオートに損害を与えるのが目的だったとの結論に達しました。

 ≪まるで小説のような話ですが、現実に起こった事例であります。
 執念深いお客様が起こした仕返しであり、どんなに注意していても回避出来なかった事例であります。
 ここまで極端な事例は稀ではありますが、いくら倫理的にも法律的にも間違っていないクレーム対応をしても、お客様にとっては自分の意見が通らなかったと言う意識が残り、その意識が大きくなる場合もあり、どうにかして逆襲しようと考える事もありますので、やはりクレーム対応では相手とのコミュニケーションを大事にし、細心の注意を払って対応に当るのが良いと考えられます。≫


 

 
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